この記事では、フランスの就労ビザについて解説します。
これからフランスで働く予定だけど、どのビザを申請するんだろう…?と疑問に思っている方はぜひ参考にしてください。
ちなみに、私が会社員の転籍という形でフランス勤務予定ですので、特に同じように会社員でフランス勤務予定の方の助けになれればとても嬉しいです。
フランスで働くには就労ビザが必要
フランスの就労ビザには数種類あり、ビザごとに条件、期間が異なる
(2022年11月更新)
実際に私が申請したパスポートタラン(才能パスポート)の申請に必要な書類、申請の体験談は以下の記事で紹介していますのでぜひご覧ください。
フランスで働くのにビザは必要?
まず第一に、フランスで働くためには原則ビザと労働許可証が必要です。
この「原則」というのがポイントで、実はその人の国籍と滞在期間によって必要になるものが少し免除されたりします。
*旅行の場合、ビザは特に必要ありませんが、2023年から短期滞在でヨーロッパのシェンゲン圏を訪問する際にはETIAS(エティアス)という事前の渡航認証(オンライン申請)が必要となります。 ETIASについてはこちらの記事をご覧ください。
滞在期間によって必要なビザが異なる
まず基礎知識として、短期滞在の場合と長期滞在の場合とで、必要になるビザ、書類が異なります。ここで短期と長期を分ける基準となるのが90日です。
ですので少し長めに滞在する場合、90日を超えるか超えないかというところは必ず意識しておきましょう。
以下に短期と長期でフランスで働くために必要な資料をまとめます。
短期(90日以内)の滞在: 短期滞在ビザ(シェンゲンビザ)と一時労働許可証
長期(90日を超える)滞在:長期滞在ビザと滞在許可証
日本国籍を持つ場合、短期滞在ビザは不要に
はじめに「原則」ビザと労働許可証が必要だけど国籍と滞在期間によって少し変わるという説明をしました。
実は、日本の国籍を持っている場合、短期滞在ビザは不要になります。短期ビザは観光に行く場合でも本当は必要になるのですが、日本の外務省の方々の努力のおかげで日本のパスポートを持っていれば、取得する必要がありません。
一時労働許可証に関しては、会議・セミナー・顧客訪問など単発の出張に関しては必要ありません。また、スポーツ、文化、芸術イベントへの参加、映画などの製作、客員教授の授業などに関しても労働許可は不要となります。労働許可証の不要な活動に関して、詳しくは以下の通りです。
上記以外の活動(フランス企業に対する研修・指導・技術支援など)を行う場合は一時労働許可証が必要となりますのでご注意ください。
長期滞在ビザの場合は滞在許可証の申請が必要
ビザが取れればオールオッケーというわけではありません。
ビザはあくまで入国許可証のようなものですので、入国は許可されますが、ずっといてもいいということではありません。
滞在期間が90日を超える場合、滞在許可証を申請し、取得する必要があります。
この滞在許可証は、フランスで生活をする住所のある県の県庁で、フランス到着後速やかに(ビザが出てから3カ月以内)発行申請を行わないといけません。発行には日本国内の大使館で発行されたビザが必要です。
フランス長期滞在ビザの種類
短期ビザと異なり、長期ビザにはいくつか種類があります。ここでは以下の4種類を説明します。
- VLS-TS(visa de long séjour valant titre de séjour / 長期滞在ビザ)
- パスポートタラン (passeport talent)
- フレンチテックビザ (French tech)
- サラリエデタッシュICT (salarié détaché ICT)
細かく分けるともう少しありますが、とりあえず通常の長期ビザのVLS-TSと優遇されたそれ以外のビザがあるんだなと覚えていておけば大丈夫です。
また、これらのビザは -Familie と書かれた配偶者用のビザ(就労可)を発行することができますので、ご家族と一緒に行こうと考えている方はご安心ください。
VLS-TS(長期滞在ビザ)
VLS-TSビザは長期滞在ビザです。1年ごとに更新が必要ですが、3カ月を超え12カ月未満の期間は滞在許可証を申請しなくても申請者の居住が許可されます。
滞在期間を延長するためには滞在許可証の取得が必要となりますのでご注意ください。
起業、就職活動のためのVLS-TSを持っていれば1年間はフランスでの労働を認められます。
パスポートタラン (Passeport Talent)
パスポートタラン(才能パスポート)は2016年に導入された、有能な人材がフランスに滞在するための手続きをより簡単かつ迅速にすることを目的としたビザです。最長で4年間有効かつ更新可能です。
このビザを申請するためには、受け入れ先のフランス企業と労働契約を締結する必要があります。
パスポートタランの中でも職種ごとにカテゴリーが分かれていて、そのカテゴリーごとに条件が異なっています。(企業内転勤、高資格労働者(欧州ブルーカード)、文化芸術関係、経営者など)
ちなみに、私が申請するのはこのパスポートタランの内のSalarie en mission(派遣従業員)です。これはグループ内で配転となる場合に申請できるビザです。
フレンチテックビザ (French Tech Visa)
上記で説明した才能パスポート制度の一部で、基本的な中身は才能パスポートと同じです。
フレンチテックとは2013年から始まった、スタートアップ企業支援をはじめとした産業育成と雇用対策の政策パッケージのことを言います。
このフレンチテックビザは、フレンチテックプログラムに参加する企業で働く従業員や、スタートアップ企業に投資する投資家や起業家のためのビザです。
IT系の仕事をしている方でフランスで働く予定という方はこのフレンチテックビザが当てはまるかもしれません。
サラリエデタッシュICT (salarié détaché ICT)
日本の会社勤めで転勤を言い渡された方は多くがこのビザに当てはまるのではないでしょうか。
サラリエデタッシュICTは、日本企業内の会社と雇用契約を結んだ状態で、フランスに転勤する場合に申請するビザです。(ICT = Intra-corporate transfer)
フランス企業と雇用契約を結んでいないため、才能パスポートの取得資格がなく、有効期限の長いビザは申請できませんが、一度きりの2-3年の転勤であればこのビザで十分かと思います。
有効期間は最大3年で更新はできません。再度同じ条件でフランスで働く場合は6カ月以上EU域外で過ごしたうえで、もう一度最初から新規として申請する必要があります。
また、事前にフランス労働省のサイト「Sipsi」上で派遣元の企業名や出向者の名前等を申告(派遣事前届を提出)しなければならないなど、手続きはやや複雑です。
まとめ
以上、フランスで働くために必要なビザについて説明しました。
- フランスで働くためにはビザが必要
- 海外出張などで短期(90日以内)で会議やセミナーなどに参加する場合はビザ、労働許可証は不要
- 長期(90日を超える)で滞在する場合には必ずビザ、滞在許可証が必要
- 長期滞在ビザはいくつか種類があり、個人の状況によって取得できるビザ(滞在期間、条件)が異なる
会社からの指示の場合は基本的に会社がどのビザを申請するか調べたり、手続きをしてくれるはずなので、正直ここまで知っていなくてもフランスに行って働くことは出来ると思います。
しかし、こういう仕組みになっているんだと自分でも理解しておくと、いざというときに自分でも何かと対応できるかと思いますので、ビザを申請する前には自分がどんな条件になるのか、大まかで良いので予習をしておきましょう!